今日も、僕がお店を運営する上で、実際の経験から得た学びを、僕独自の視点でお話ししたいと思います。
『 分かち合い、GIVERの精神 』
僕は、GIVERの精神というのを大切にしています。
それは、ある人に教えてもらった言葉に由来しています。
最初の店 「 中華そば 鶴舞一刻屋 」 を初めて2年ほどたったころ、前述の中学、高校で同級生だった新本くん、元パスタ屋さんの谷川さんが仲間に加わりました。
両親の店 「 中華そば 白壁あおい 」 を継がなければいけないタイミングであったので非常にうれしかったのですが、新本くん、谷川さんのラーメン作りのスキルが上がってくると、当時の僕は、一つの葛藤をかかえるようになりました。
その葛藤とは、これまで僕がラーメン職人とし作り上げ、積み上げてきたレシピやノウハウというものが存在します。
いわゆる秘伝のタレ、秘伝のスープといわれるものです。
この秘伝のレシピを、どこまで新本くん、谷川さんに開示すればいいのかというものでした。
ラーメンは職人の世界なので、一子相伝の味作りともいわれるように、タレは、社長しか知らない、スープのこのポイントだけは一部の人しか知らないという独特の職人の世界があります。
当時は、秘密を知られないために、だしの材料が入った籠にカギをかけて見れないようにしているお店やレシピを従業員に高額で売っているお店までありました。嘘のようなホントの話です(笑)
そんな時、あるセミナーに参加する機会がありました。
そのセミナーで質疑応答の機会があったので、講師に思い切ってその葛藤について質問してみました。
「今、ラーメン屋をやっておりまして、おかげさまでお店も繁盛しています。スタッフも入ってきて次の展開へという時期ですが、今、悩みを抱えています。それは、スタッフに僕のノウハウをどこまで教えればいいかということです。
僕ら職人の世界では、秘伝〇〇とか一子相伝とか商売のノウハウを全部教えてしまったら、スタッフ達はすぐ独立してしまって、僕より成功してしまうんじゃないか、ライバルが増えてしまうのではないかという恐れを抱いています。
一方、スタッフにすべて教えないと100%お店を任せることはできないし、信頼関係も築けないのではないか とも思っています。」
僕には切実な悩みでしたので、勇気を出して質問をしました。
そのセミナーの講師の答えは、よどみなく明快に発せられました。
「澤くんの気持ちはよくわかります。でもね、ひとつ覚えてもらいたい考え方があります。
それは、分かち合う、見返りを求めず与える という考え方です。
澤くんがレシピやノウハウを出し惜しみせず、分かち合えば分かち合う、与えれば与えるほど飛躍的に今のラーメン事業は成功していくよ。驚くほど上向いていくよ。」 というお話でした。
最初は半信半疑でしたが、僕の良いところは、まず素直に受け入れて実践してみることなので、その講師のお話を信じて僕が知っているすべての事を、出し惜しみせずにスタッフに教えてみようと思いました。
すぐに、翌日から実行しました(笑)
そしたら、そんなに時間がかからずに、僕が見える景色が明らかに変りました。
新本くん、谷川さんは納得しながら、職人としてのスキルが上がっていき、安心して任せられるようになりました。
この分かち合い、見返りを求めず与えるという、考え方があったので、後のパートナー事業を決断できたし、海外事業もできたと思っています。
僕は、今や何も隠すことはない、僕が持っている技術やノウハウは国内海外問わず、すべてのスタッフに開示しています。
どんどんこれからも、この与えること、貢献していくことをしていこうと思っています。
それが、スタッフの一番の成長につながると思いますし、会社の発展にも不可欠であると僕は思います。