本日も、実際に僕がお店を運営する中で得た学びを、あくまで僕独自の視点でお話ししたいと思います。
今回も前回に引き続き 僕の 商品作りの考え方 についてです。
本日はちょっと難しいお話かもしれません。
『 イノベーター理論とキャズム理論 』
イノベーター理論?キャズム理論?
急に難しい話になったなと思うかもしれませんが、商品が世に知れ渡る為に理解しておいた方がいい重要な理論です。
僕もこの二つの理論を念頭に商品の設計、味作りの設計をしています。
イノベーター理論とは、スタンフォード大学のロジャース教授が提唱した理論です。
下図を見たことがある方もいると思います。
この図は、お客様が商品を購入する時の考え方により、メンバーを5つのグループに分類したものです。
最初の「 イノベーター 」は革新者とも呼ばれるグループです。
新しいものを積極的に試してみる人達です。
いわゆるマニア、オタクです。
続いて「 アーリーアダプター 」です。
彼らはイノベーターほど積極的ではありませんが、流行には敏感で、新しもの好きなグループです。
ときにはオピニオンリーダーとなって他の消費者に対して大きな影響力を発揮することもあります。
そして中央のボリュームゾーンです。
まずは「 アーリーマジョリティ 」です。
ここに所属する消費者は新しいものには比較的慎重で、役立つなら買うグループです。
また「 レイトマジョリティ 」は、より慎重で周りが使ってから買うグループです。
最後の「 ラガード 」ですが、彼らは、流行には流されず基本的に買わないグループです。
このイノベーター理論を提唱した、ロジャース教授は、アーリーアダプターこそが商品が売れる鍵を握ると言いました。
しかし、のちにキャズム理論を提唱した、ムーアは、アーリーアダプターと、アーリーマジョリティやレイトマジョリティとの間には容易に超えられない大きな溝(Chasm:キャズム)があることを主張しました。
アーリーアダプターに支持されたとしてもそれはあくまでも初期市場の話であって、主流の市場に受け入れられるとは限らず、そのままでは規模の小さな初期市場の中でやがては消えていく運命となるというのです。
ゆえにキャズムを越えるためにはアーリーマジョリティに対するアプローチを積極的に行わなければならないと説いています。
アーリーアダプターは流行に敏感で、他の人が体験していないことをむしろプラスに受け止める人達であるのに対して、
アーリーマジョリティは「 多くの人が持っている 」のを確認して、ようやく自らも購入をする人達です。
この理論を僕が身を置いているラーメン業界に当てはめてみます。
とんがったラーメン屋、いわゆる無化調ラーメンを提供するお店、産地を厳選し食材にこだわった薄味のラーメンを提供するお店、異常に濃厚なラーメンを提供するお店、魚出汁を過度に抽出したラーメンを提供するお店 等は、イノベーターやアーリーアダプターのお客様を対象にしたお店になります。
しかし、この理論からすると、これらの店がボリュームゾーンいわゆる一般的なお客様に支持をされるまでには、大きな溝(キャズム)が存在することになります。
わかりやすく言うと、ラーメンが革新的過ぎて、専門的、マニアック過ぎて、一般のお客様の理解が追い付きにくいという事です。
しかし、メディアに取り上げられるお店はこういった革新的なお店が多いのが実情です。
SNSなどでUPされるラーメンの情報もこういったとんがった商品が多いです。
なぜなら、メディアが取り上げたり、SNSにUPする人達は、ほぼイノベーターやアーリーアダプターだからです。
これが、ひとつの勘違いを生む原因になると僕は考えています。
ラーメン屋を営業する当事者たちは、日々、SNSにUPされる情報やメディアに取り上げられる情報を見て、そのようなお店や商品を作ればお客様に支持されると思ってしまいます。
しかし、ラーメン屋を趣味ではなくビジネスとしてとらえた場合、イノベーターやアーリーアダプターのお客様に支持される商品を提供するお店は、リスクが高いと僕は思っています。
前述の 『 僕の見方・考え方16 』 でお話した 王道+α この公式が店舗・商品設計の必要条件だと思います。
わかりやすくクセになるおいしさというのが、ラーメンの王道です。
そこにいかに+αをして、自分らしいラーメン屋にしていくか。
これが僕の商品に対する見方・考え方です。