僕のラーメン屋物語 次回は 「 中華そば 白壁あおい 」 の思い切った決断について書きますが今日は小休止です。
僕の最初の店 「 中華そば 鶴舞一刻屋 」 が、メディアからオファーを受けた理由、一刻屋の独自性ついて書きたいと思います。
一刻屋の特徴は、ずばりスープです。
その特徴は、2日から3日スープに火を入れながら熟成させ、うなぎのたれのように継ぎ足しながら
作るスープです。
「スープを作るという感覚」ではなく、まさに、「スープを育てていく。」 という感覚なんです。
毎日、何度も火にかけ、手を入れることにより、さらさらしていたスープがなんとも言えない風味、コクが出てくるのです。
野菜の甘みが出ていて、色は濃いけど塩辛くなく、深みがあるスープです。
どこにもない唯一無二のスープです。
≪ 解説 ≫
一刻屋では、現在多くのラーメン店で主流となっている素材を重層的に重ねた厚みのあるスープではなく、素材を厳選することによって、素材の特徴を出していく、いわば引き算のスープです。
通常、ラーメン店のスープは、動物系、魚介系の材料をスープの柱としてとらえ、動物系の臭み消しや、少しの甘み付けなどの目的で野菜を投入するのですが、一刻屋では、この発想とは全く逆で、野菜(たまねぎ)の風味、甘みを柱として、コクとか深みを増すため、動物系、魚介系を突出しないぐらいの分量に抑えて投入しています。
この製法により、唯一無二な野菜(たまねぎ)のスープとなります。
超熟成たまねぎスープと呼んでいます。
現在、ラーメン業界の流れで、主流となっているのは、煮干しやカツオ節をうまく使い、魚介のダイレクトな風味、旨みを前面に出しながら動物系と合わせるといった形のもので、いわゆるダブルスープや豚骨魚介といわれるものです。
最近では、煮干しやカツオ節を粉末にして、直接どんぶりに入れ、フレッシュな風味のラーメンを提供するお店も数多く見られます。
しかし当店は、これらのスープとは発想が全く違い、基本的にスープを継ぎ足し、醤油等の調味料をスープとあらかじめ合わせて、ある程度寝かすことによって、スープの角をなくし、まろやかにさせて、深みが出てきた段階で提供しています。
(カレーやシチューの2日目にまろやかになって、深みが増すのと同じ原理です。)
実は、スープが濃い色をしているのは、醤油の色だけでなく玉ねぎスープが熟成した色なんです。
なので、魚介の風味が突出しているスープではなく、すべてがの風味、旨みが合わさった独特のスープとなるのです。
興味がわきましたら、一度、ご賞味ください。