本日は、フジヤマ55香港 立ち上げ物語の後編です。
オープンの前前日に滑り込みセーフで内装工事が終わり、前日にスープの試作を終えました。
※海外は、予定通りの工期にはならないので、工事が遅れに遅れるのがお約束です。
これでなんとかオープンできると思いました。
しかし、翌日オープンをむかえて、大事件は起きました。
お昼のピーク時間を大忙しでなんとか営業し、14時をまわったその時、突然、
厨房内のスプリンクラーが大量の水を放水しながら回り始めたのです。
お客様には幸いにも水はかかりませんでしたが、天井からシャワーのように水が降り、提供する予定のラーメンスープ、麺、具材がすべて水浸しになりました。
厨房スタッフもずぶ濡れになり、大惨事でした。
原因は初日から忙しすぎて仕込みが間に合わず、店内のガスをフル稼働して仕込をしながら営業をしていたところ、厨房内の温度が上がりすぎてスプリンクラーが作動してしまったということでした。
ドキュメンタリーでよく見るドラマティックなアクシデントが、まさか自分が携わっている現場で起こってしまうとは!
スタッフみんながあたふたしたまま、初日はその大事件で強制閉店となりました。
当然、店長はじめ現場のスタッフが落ち込んでいたのですが、キキちゃんのママがスタッフに向かってこう言いました。
「 落ち込んでいてもしょうがない。風水の観点からみると水はお金と一緒。水が初日に降ってきたから、お金が降ってきたと同じ。この店は繁盛まちがいないわね。 」
すげー。
世界には、いろいろな考え方があるもんだと改めて思いました。
香港人、すばらしいポジティブシンキング!!素敵です。
その夜はスタッフの慰労を兼ねて、「 今日は、大変だったけど、みんながんばったよね 」という話しをしながら、ちょうどシーズンという事もあり、上海蟹をスタッフと一緒に食べまくる慰労会をしました。
ここでもまたちょっとした事件が起こりました。
日本から連れてきたラーメン職人の佐藤君が酒を飲みながら、いきなり声殺して泣きはじめたのです。
ど、どうした、佐藤君。
という間もなく彼は席を立ち、すいませんが僕、帰りますと言って、自分の住むアパートに帰ってしまったのです。
そこにいたフジヤマ55のスタッフとキキファミリーは、なぜ佐藤君が泣き出して、いきなり帰ってしまったのか、何が起こったのか理解できない様子でした。
少し間を開けて佐藤君に電話して聞いてみたところ、あんな大事件が起こったのに皆がのんきに上海ガニを食べてて、酒も入った事もあり泣けてきてしまったということでした。
日本人真面目だな~。
ここでも世界との感覚の違いを体感しました。
間違いない。佐藤くん。
それが日本人の正常の感覚だ。
僕は、香港で香港の感覚に寄り添いすぎて、佐藤君に寄り添えなかったことを少し反省しました。
経営者が気を付けなければいけないのは、物事を俯瞰してみることが習慣になってしまい、スタッフの感情に寄り添うことが出来なくなってしまう事です。
まさに、そんなことを思った佐藤君の行動でした。
そんな、トラブルもありましたが、香港店も開業して、早いもので3年弱。
キキちゃんのお母さんが最初に言った通り、お金に恵まれ(笑) お店は繁盛しています。
昨年、2号店のトンローワン店もオープンし、1号店と共に香港のたくさんのお客様に受け入れられています。
最近は、香港チームが開発した、ウニつけ麺が大ヒットしています。
タイ、香港は言ってみれば、たまたま大須のご縁が繋がりましたが、タイ人パートナー ナイ夫妻や香港パートナー岩田、キキ夫妻といっしょにファミリー的な盤石のパートナーシップでフジヤマ55を運営できています。
今回の学びは、
海外はトラブルがつきものだということです。
実際トラブルが起きたら、きたきた!!お約束♡と、どっしりと構える姿勢がリーダーには、必要です。
但し、スタッフには、同じ目線で寄り添い、気持ちを汲むことも大切にしていきましょう。
常に俯瞰せず、同じ目線で見てみる事は、とても大切です。